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HomeBlog > ユーザーストーリーとハンバーガー

ユーザーストーリーとハンバーガー

今回は、6月のアジャイルひよこでお話した3つのポイントの中の最後のポイントについてです。前回のポイントでユーザーストーリーを分解する重要さに触れましたが、ここではその分解方法のひとつ、「ハンバーガーのひと口法」をご紹介します。

ユーザーストーリーの分解方法は色々ありますが、この方法は特にしっかりアジャイル精神に則っているので私のお気に入りのひとつです。

まず「ハンバーガーのひと口」と聞くと浮かんでくるのは、ブログの最初の絵のようなイメージだと思います。なるべく上から下まで口に入るように、端からガブリとかじったひと口。

こうやってひと口ふた口食べると大抵の人は、
「このハンバーガー美味しい!」
「このバーガー何だかイマイチ…」
などハンバーガー全体の味を判断し始めます。

それは、この時点でそのハンバーガーが大体どういう味かが分かるからです。

それに比べて、同じハンバーガーをまずこんな具合にバラバラに分解して、それぞれをひと口ずつ食べてみたらどうでしょう?

まずはバンだけを口いっぱいに頬張って食べ、それからふた口目は玉ねぎだけ、その次はトマトだけをひと口…。

これでそのハンバーガーがどういう味だか分かるでしょうか?

こういう食べ方ではハンバーガーの味になっていない!

ですよね。

ユーザーストーリーについても同じことが言えるのです。

ユーザーストーリーを分解するときに良く起こるのが、システムを技術的なレイヤーとして分析し、そのレイヤーごとにストーリーを書いてしまうことです。例えば:

  • データべースのモデリングだけのユーザーストーリー
  • UIやUXだけのユーザーストーリー
  • バックエンドのコードだけのユーザーストーリー

見た覚えがありませんか、こういう感じの?
私も最初の頃やってました…。

確かにサイズ的には小さくて1スプリント内で完成できる内容に収まっているかも知れません。

ですが、ハンバーガーをレイヤーごとに分解して食べるのと同様、これではシステムの味になっていないのです。

ではシステムの味になっていない、とは具体的に何を意味するのでしょうか?

それは以下のようなことを指しています。

  • システムとしてどう動くか、あるいは動いているか、という実感が掴めない
  • クライアントに進捗状況が伝えにくい、分かりにくい
  • MVP (Minimum Viable Product)が作りにくい

つまり、アジャイルとして重視している要因が欠けている、ということです。

ユーザーストーリーを分解するときには、ハンバーガーのひと口のように、そのシステム全体の味がなるべく分かりやすい内容にするのが、よりアジャイルらしいやり方です。

技術的なレイヤーで考えず、あくまでもエンドユーザーやビジネス側から判断しやすい機能レベルで考えながら分解していく、ということです。

同時にそうすることで、第1点のポイント、「ユーザーストーリーと制服」で触れたような、制服を着せただけではないユーザーストーリーになっていく筈です。

ではハンバーガーひと口風に分解されたユーザーストーリーとはどんな感じなのかを見てみましょう。

営業担当者として、
顧客の会社名をiPhoneから入力して、代表者の名前を検索したい。
何故ならば、外回りで訪問寸前に再確認したいから。

ひと口の味がするかどうかを分析してみると、これを完成するには:

  • 入力用のUI要素を実装する必要あり
  • 入力内容がDBまで往復する必要あり
  • ネットワークと繋がる必要あり

つまり色々なシステムのレイヤーや構成要素を作動できる必要があります。

勿論現実のエンドユーザーの実際の作業を記述した内容なので、ユーザー目線で書かれていて、ビジネス側のステークホールダーにも分かりやすくなっています。

更に、「スマホ」や「携帯」ではなく「iPhone」と限ってあるので、このストーリーに関してはiPhoneに集中して実装・テストできます。ここで欲張り過ぎないことも大切です。

かなりしっかりシステムの味が分かるひと口になっていませんか?

アジャイルひよこでのお話はここまででしたが、このユーザーストーリーを読んで、

「でもよく見ると、これもまだひと口では食べきれないほど大きなサイズになってない?」

と思う方がいらっしゃるでしょうか?

確かにまだアグレッシブな規模かも知れません。

特にまだ開発を始めたばかりの時期には、あれこれと検証しながら実装するため、簡単そうな機能でも結構時間がかかりますよね。

おまけにスプリントが1週間だったりすると、これが半分も終わらないうちにスプリントリビューの時間が来た…なんてことに。(^_^;)

きちんとしたユーザーストーリーを作ることはアジャイルの要でもあります。
私個人としては、最善策はPractice makes perfect (上達するには練習あるのみ)だと思っていますが、練習の成果を上げるには具体的な好例に幾つも触れることも大切です。

そこで、次回は上記のストーリーをもう一段階分解した例をご紹介することにします。

ではまた次回まで、Happy Grooming!


 






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